読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

Sideswipe

情報工学、計算論的神経科学など、真面目なこと書くブログ。お仕事の話は Twitter: @kazoo04 にお願いします。

一次視覚野の概要

masawada Advent Calendar 2013 の 12/17 の記事です。
後頭部について書けばよいようなので私は大脳新皮質のうちでも比較的研究が進んでいる一次視覚野について書きます。

一次視覚野について

後頭部といえば、そう、視覚野 (Visual cortex) です。
後頭部には、ブロードマンの脳地図における17野、すなわち一時視覚野(V1)や、そこと接続している V2(18野), V3(19野) などが存在します。

低次視覚野は視覚と密接に結びついていることから実験しやすく、ネコやサルの脳を用いてさまざまな研究がなされています。

構造

光が目に入ると、その信号は視床にある網膜神経節細胞から視神経を通って外側膝状体(LGN) に投射されます。
LGNについては後頭部にないので詳しい説明は省きますが、V1からも同様にLGNへの入力があり、視覚的注意やサッカードなどを制御していると考えられています。

V1は網膜の部位局在を反映していて、たとえば網膜内で隣接している部位からの入力は、V1内でも隣接しています。
これは非常に正確に配置されており、網膜部分もきちんとマップされています。
この構造はヒトに限らず、V1をもつ全ての動物に共通しているため、視覚進化の比較的早い段階で獲得されたものと考えられています。

f:id:kazoo04:20131217175228j:plain
(Livingstone and Hubel, J. Neurosci. 4, 309-356, 1984)

上の図がV1の概要です。 R と L というのは左右どちらの網膜からの信号を投射しているのかを表しています。
図の右のほうにある、1とか4Aとか書いてある部分(縦方向の構造)は大脳新皮質に共通する6層構造を表現しており、V1への入力は主に第4層から入ってきます。

役割

V1の重要な役割は、エッジの傾きの検出を行うことです。
大脳新皮質は特徴的なカラム構造(柱状配列 columnar organization)をしていますが、それぞれのカラムが別々の角度のエッジに対して強く反応します。
この発見によって、神経生理学は大きく進歩し、その業績が評価され発見者の Torsten Nils Wiesel と David Hunter Hubel は 1981 年にノーベル生理学・医学賞を受賞しました。

f:id:kazoo04:20131217175325j:plain
(Hubel & Wiesel, J. Physiol. 195, 215,-243, 1968)

柱状配列の構造は後天的に獲得されるもので、たとえば Blackmore と Cooper による実験では、子猫に縦縞模様のみを見せて育てると、横縞の見えないネコになることがわかっています。


Colin Blakemore does terrible things to kittehz. For ...

Self Organized Maps

また、 Kohonen はこれをヒントにして教師なしクラスタリングである Self Organized Maps を考案しています。
SOM では様々な多次元ベクトルを入力するとそれをもとの空間の位相をなるべく保ったまま低次元空間に写像することができ、実際に様々なエッジを与えるとV1野のようなマッピングができることを示しています。

その他の役割

上記では、主に網膜からの情報を受取ると書きましたが、
An Error Occurred Setting Your User Cookie
によると、目隠しした状態で手で物を触ってどんな形をしているか探ろうとすると、
V1 を含む腹側皮質視覚路が活性化することがわかったそうです。
腹側皮質視覚路というのは、主に目で見たものが何か判定するところで、 What 経路と呼ばれることもあります。
面白いですね。

おわりに

選択的注意とか、高次視覚野からのフィードバック入力とか、他にも書きたいことが色々あるのですが時間が無いのでこのあたりで。